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ELIANE ELIAS

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

ミシェル・カミロ・トリオによる灼熱の公演が終了したばかりのブルーノート東京に、今度はジャズ&ボサノヴァのそよ風が吹いています。ジャヴァンやビル・フリゼールを迎えた最新作『タイム・アンド・アゲイン』も大好評を博しているグラミー・ウィナー、イリアーヌ・イリアスの公演が昨日から始まりました!

メンバーの並びは向かって左からリアンドロ・ペレグリーノ(ギター)、イリアーヌ、夫君のマーク・ジョンソン(ベース)、マウリシオ・ゾタレリ(ドラムス)。マーク以外はブラジル・サンパウロ出身です。イリアーヌはほとんどのナンバーでピアノの弾き語りを聴かせます。マークとリアンドロは昨年の公演に引き続いての参加ですが、マウリシオの同行は2016年以来かもしれません。ドン・サルヴァドール、リシャール・ガリアーノ、松居慶子、クラウジオ・ホジーチなど数々のミュージシャンをサポートしてきた名手で、切れ味鋭いシンバル・ワークは特に絶品。いわゆるサンバのビートはもちろん、4ビートに取り組んでも抜群の魅力を発揮する奏者です。

インストゥルメンタル・ナンバー「Batida」でイリアーヌとリアンドロが存分にアドリブ・ソロを繰り広げた後、いよいよ弾き語りの楽曲が始まります。アリ・バホーゾが1939年に書いた「Aquarela Do Brasil」(ブラジルの水彩画)のような古典から『タイム・アンド・アゲイン』に入っているオリジナル曲「Falo Do Amor」まで、メロディとリズムの双方が生き生きしているパフォーマンスが目の前で繰り広げられていくのはまさしく快感です。ボサノヴァ誕生のエピソードについてイリアーヌがMCで語った後は、向かってステージ右側にいたマークとマウリシオが左側に移動して、4人がより近い距離に位置し、より親密な感じで音を届けるコーナーに。マウリシオは左手にブラッシュ、右手にスティックを持って薄手のスネア・ドラムを実にやさしくプレイします。音量を限りなく抑えた演奏が超満員の場内に充満し、演奏終了のあと一転、静かに聴き入っていたオーディエンスから猛烈な拍手と歓声が沸き起こります。

プログラムの後半もボサノヴァ・クラシックスが次々とプレイされましたが、そこにたっぷり即興を盛り込むのもイリアーヌ流です。マークの圧巻の無伴奏ソロも挿入されたアントニオ・カルロス・ジョビン作「Desafinado」は、このグループの硬派な"ジャズ・サイド"が打ち出された演奏でしたが、やはりジョビン作の「Só Danço Samba」では観客との合唱パート(コール&レスポンス)を挿入して大いに和ませ、盛り上げてくれました。卓越したミュージシャン&エンターテイナー、イリアーヌの公演は明日27日まで続きます。
(原田 2025 5.26)

Photo by Yuka Yamaji

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【LIVE INFORMATION】

ELIANE ELIAS
2025 5.25 sun., 5.26 mon., 5.27 tue. ブルーノート東京
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